Maxell ER10/28(ER10280とも呼ばれます)は、コンパクトでありながら産業用途において非常に重要な役割を果たすリチウム電池です。Maxellが製造するこの3.6V塩化チオニルリチウム(Li-SOCl₂)電池は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、NC工作機械、その他の産業用制御システムにおけるバックアップ電源として使用されています。
Maxell ER10/28とは?
Maxell ER10/28は、Maxellの一次リチウム電池「ERシリーズ」に属する製品です。本製品は使い切り(充電不可)タイプの電池であり、実用化されている電池システムの中で極めて高いエネルギー密度を誇る塩化チオニルリチウム技術を採用しています。
この電池には主に2種類の型番表記が存在します。
- ER10/28 — Maxellの製品型番
- ER10280 — おおよその外形寸法(直径10mm、高さ28mm)を表す一般的な表記
表記の違いにより困惑されるかもしれませんが、これらはどちらも同一の電池を指しています。
技術仕様
- 公称電圧: 3.6V
- 公称容量: 410–500 mAh
- 化学組成: 塩化チオニルリチウム(Li-SOCl₂)
- 寸法: 直径 10 mm × 高さ 28–31 mm
- 重量: 約 4 g
- 最大連続放電電流: 約 20–100 µA(低負荷用途向け)
- 動作温度範囲: -55°C 〜 +85°C
- 自己放電率: 年間 1% 以下
互換型番と主な用途
Maxell ER10/28は、主に産業自動化機器のバックアップ用バッテリーとして使用されています。最もよく知られている用途は、三菱電機製シーケンサ「MELSEC FX2NCシリーズ」での利用です。
主な互換型番:三菱電機 FX2NC-32BL
三菱電機の「FX2NC-32BL」は、コンパクトPLCであるMELSEC FX2NCシリーズ用の純正バッテリーユニットです。このユニット内部のセルとしてMaxell ER10/28 (ER10280) が採用されています。
FX2NC-32BLバッテリーは、以下の機能に対してバックアップ電源を供給します。
- PLCメモリーの保持(ラダープログラム、パラメーター、データレジスタ)
- リアルタイムクロック(RTC)機能
- 停電時における状態データの保持
交換時の重要注意事項
- 電圧の確認: 交換用バッテリーの電圧が確実に3.6Vであることをご確認ください。異なる電圧を使用すると、PLCのメモリーバックアップ回路が破損する恐れがあります。
- コネクターの互換性: 交換用バッテリーのコネクター形状が、お使いのFX2NC本体と適合していることをご確認ください。
- 極性: バッテリーを接続する際は極性(プラス・マイナス)に十分ご注意ください。
- データのバックアップ: バッテリー交換作業中に電源供給が途切れるとメモリー内容が消失する可能性があります。交換前には必ずすべてのPLCプログラムおよびデータをバックアップしてください。
まとめ
Maxell ER10/28 (ER10280) は、ファクトリーオートメーション分野で重要な役割を担う、小型かつ高品質な3.6V塩化チオニルリチウム電池です。主な用途として、三菱電機 FX2NC-32BL バッテリーユニットの内部セルに採用されており、MELSEC FX2NCシリーズPLC本体や増設モジュールのメモリー保持およびリアルタイムクロック機能のバックアップを支えています。